ドローンによる赤外線外壁調査とは?建築基準法12条点検で使える条件

お問い合わせはこちら

ドローンによる赤外線外壁調査とは?建築基準法12条点検で使える条件

ドローンによる赤外線外壁調査とは?建築基準法12条点検で使える条件

2026/08/22

ドローンによる赤外線外壁調査は、建築基準法第12条の定期調査における「全面打診等」の代替方法として使えます。平成20年国土交通省告示第282号(改正 令和4年国土交通省告示第110号)と、令和4年3月に国土交通省が公表したガイドラインに、実施の要件が定められています。

ただし、どの建物でも無条件に使えるわけではありません。気象条件・仕上げ材・下地材・撮影角度などの適用条件を満たし、かつ打診との併用による精度確認を行うことが前提です。

この記事では、建物オーナー様・管理会社様・設計事務所様に向けて、ドローン赤外線調査が使える条件と使えない条件、発注前に確認すべき点を整理します。当社のサービス内容や料金については、ドローン空撮・赤外線点検のご依頼のページをご覧ください。

12条点検と「10年ごとの全面打診等」

建築基準法第12条第1項に基づく定期報告制度では、特定建築物の所有者・管理者に、定期的な調査と特定行政庁への報告が義務づけられています。外壁の調査は、その項目のひとつです。

外壁調査には、次の2種類があります。

区分 内容
通常の定期調査 おおむね6ヶ月〜3年に一度。手の届く範囲の打診と、目視(双眼鏡等を含む)による確認
10年ごとの全面調査 竣工・外壁改修・全面打診等から10年を超えて最初に実施する定期調査。落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分について全面打診等を行う

問題になるのは後者です。全面打診には通常、仮設足場やゴンドラの設置が必要になり、所有者の費用負担が大きくなります。この負担を軽減する方法として広がったのが、赤外線調査です。

赤外線調査が代替として認められる根拠

根拠となる告示とガイドライン

平成20年国土交通省告示第282号(改正 令和4年国土交通省告示第110号)

「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」(令和4年3月/赤外線装置を搭載したドローン等による外壁調査手法に係る体制整備検討委員会)

ガイドラインは、赤外線調査およびドローンによる赤外線調査を、告示に位置づけられたテストハンマーによる打診と「同等以上の精度」で実施するために必要な事項を定めたものです。

ここで重要なのは、「ドローンを使えば認められる」のではないという点です。認められるのは「打診と同等以上の精度が確保された赤外線調査」であり、ドローンはそれを実現するための手段のひとつにすぎません。

調査対象となる仕上げ材

ガイドラインが適用されるのは、告示に示された調査項目のうち「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況」です。

乾式工法は対象外です

タイル割に合わせて躯体に取り付けた下地金物にタイルを引っかけ、モルタルによる接着を用いずに仕上げたもの(乾式工法)は、この調査方法の対象になりません。

ドローンが解決するのは、実は2つだけ

ここが、依頼を検討される方にぜひ知っておいていただきたい点です。

赤外線調査には7つの適用限界があります。ガイドラインは、そのうちドローンで改善できるのは2項目だけだと明記しています。

赤外線調査の適用限界 ドローンで改善できるか
① 季節・天候・時刻・気温など自然現象の影響 ✕ 同様に影響を受ける
② 撮影に適さない天候・気温の日較差・風速 ✕ 同様に影響を受ける
③ 適切に撮影できない測定角度がある 〇 壁面に正対できる
④ 壁面と赤外線装置の距離 〇 解決できる可能性
⑤ 撮影が困難な仕上げ材の材質・形状・色調・下地材 ✕ 同様に影響を受ける
⑥ 周辺建物・樹木・暖房機器等の影響 ✕ 同様に影響を受ける
⑦ 建物形状(軒裏・出隅入隅・庇・笠木等) ✕ 同様に影響を受ける

つまりドローンの価値は、高層部でも壁面に正対して、適切な距離から撮影できることに集約されます。地上からの三脚撮影では、上階ほど見上げる角度が大きくなり、距離も遠くなって精度が落ちる——その課題を解決するのがドローンです。

「ドローンなら何でも見える」ではありません

天候が悪ければ撮れません。北面は日射が少なく著しく困難です。反射の強いタイルも苦手です。これらはドローンを使っても変わりません。この点を説明しない業者には注意が必要です。

使える条件①|気象条件

赤外線調査は、日射によって生じる外壁表面の温度差から浮きを判定します。したがって天候の影響を全面的に受けます。

撮影が実施できる気象条件
  • 撮影2時間前から撮影中まで「晴れ」または「晴れ時々曇り」(雲量8割以下)
  • 最低気温5℃以上
  • 日中の気温較差5℃以上が見込まれること
  • 撮影時の平均風速5m/s未満
  • 壁面が降雨で濡れていないこと

「曇り時々晴れ」は困難、「曇り」以下は不可能とされています。薄曇りで人影が薄い状態も撮影困難です。

日程には必ず予備日を

これらの条件を満たさない場合、調査は延期になります。ガイドラインも予備日の設定を求めています。「必ずこの日に」という前提の工程は組めない調査だとご理解ください。

使える条件②|建物・仕上げ材・下地材

撮影の精度に関わる数値

項目 基準
撮影角度 仰角・水平角ともに30°以内が望ましい(やむを得ない場合45°程度まで)
離隔距離 対象壁面100mmあたり4画素程度で計測できること。最低離隔距離は一般に3〜5m程度
赤外線装置 最小検知温度差0.1℃以下、320×240画素程度以上、温度情報が記録できる形式
撮影方法 ホバリングで静止し、静止画で撮影(動画は焦点が合わず分析不可)

赤外線調査が困難な条件

方位

北面は日射が当たる時間が短く、著しく困難です。

タイルの種類

  • 反射の著しく強い施釉タイル
  • ラスタータイル(パールタイル、金属光沢のあるもの)
  • 白色系のタイル
  • 凹凸の大きいタイル
  • 深目地で施工されたタイル外壁

現地での簡易な見分け方として、壁面に隣接建物や障害物が「映り込む」かどうかがあります。映り込みが生じる仕上げは、一般に適用が困難です。

下地材

次の下地は、熱容量が小さい、または中空を有するため、赤外線調査が適用できません。

  • 木摺ラス/鉄骨ラス
  • ALC
  • 押出成形セメント板
  • タイル先付けプレキャスト(PC)版、型枠先付けタイル

検出が困難な部位

軒裏、出隅・入隅、庇の鼻先、笠木や窓台の近傍、雨樋や柱の日影、窓枠近傍・開口隅部、水平打継部、斜壁。これらは打診など他の方法との併用が必要になります。

だからこそ「事前調査」が重要です

設計図書で下地材と仕上げ材を確認し、現地で日射の状況・映り込み・障害物を見る。この事前調査を丁寧に行う業者かどうかが、調査の質を分けます。当社では、図面をお預かりした段階で適否の見立てをお伝えしています。

この条件、お持ちの建物は満たしていますか?
方位・仕上げ材・下地材から、赤外線調査が使えるかどうかを判断します
調査内容と料金を見る 図面を送って相談する

打診との併用は「必須」です

赤外線調査は、打診をゼロにする技術ではありません。ガイドラインは、調査対象の壁面ごとに打診との併用による精度確認を義務づけています。

併用による確認の手順

① 赤外線で健全と判断した部分を、各壁面1箇所・約1㎡打診する
② 赤外線で浮きと判断した部分を、各壁面1箇所・約1㎡打診する
③ 健全部と浮き部で表面温度に差があること、範囲が概ね一致することを確認する

打診で浮きが検出できるまで、本調査は始めません

ガイドラインは「打診で浮きと判断した箇所を赤外線装置で検出できない場合は、検出できるまで赤外線調査を実施しない」と定めています。この確認をせずに撮影だけ行う調査は、ガイドラインに沿ったものとは言えません。

この併用には、①検出精度の確認と、②撮影開始時刻の決定という2つの目的があります。日射が壁面に十分蓄熱したかどうかは、実際に検出できたことをもって判断します。

4つの役割で成り立つ実施体制

ドローンによる赤外線調査は、1人でできる業務ではありません。ガイドラインは4つの役割を定めています。

役割 担当する内容
外壁調査実施者 1級建築士・2級建築士または特定建築物調査員。調査全体を統括し、告示の判定基準に基づき「要是正」等を判定する
赤外線調査実施者 熱画像の撮影・分析・浮きの判定に責任を負う。建築物と赤外線調査の双方の知識と実務経験が必要
ドローン調査安全管理者 ドローンの管理・運用を統括。飛行の可否と中止を判断する権限を持つ
操縦者 飛行技術に熟知した操縦経験を有する者。安全管理者の指示のもと撮影する

要件を満たす範囲での兼務は妨げられませんが、誰がどの判断に責任を持つのかは、契約前に明確にしておくべきです。

熱画像を撮った人が、分析もする

ガイドラインは、熱画像の分析と浮きの判定は、現地で撮影を行った赤外線調査実施者が実施すると定めています。撮影時の天候、日射、周辺建物からの反射——これらを把握していなければ、正確な判定はできないためです。

「撮影は外注、解析は別会社」という体制は、この趣旨に沿いません。当社がどのような体制で調査にあたっているかは、サービスページに記載しています。

足場・ゴンドラとのコスト比較

工法 特徴 留意点
仮設足場+全面打診 全面を直接確認できる 足場費用が大きい。設置・解体に日数を要し、居住者・利用者への影響も大きい
ゴンドラ・ロープ 足場より安価な場合がある 屋上に設置条件が必要。作業者の安全管理、作業日数の確保
ドローン赤外線調査 仮設が不要。調査日数が短い 天候に左右される。適用条件を満たさない部位は他工法との併用が必要

金額は、建物の規模・形状・立地・階数・仕上げ材によって大きく変わります。㎡単価だけで比較せず、「どの範囲を、どの工法で調査するのか」を含めて見積もりを確認してください。当社の料金の考え方と見積もりの内訳は、サービスページで公開しています。

安すぎる見積もりに注意

ガイドラインに沿った調査には、事前調査・打診との併用確認・熱画像の分析・報告書作成という工程が必要です。撮影と同等以上の時間が分析にかかることもガイドラインに明記されています。撮影だけの費用で見積もられていないか、内訳をご確認ください。

発注前に確認すべき5つのこと

1|事前調査を行うか

設計図書での下地材・仕上げ材の確認、現地での日射・映り込み・障害物の確認。これを省く業者は避けてください。

2|打診との併用確認を行うか

各壁面での1㎡程度の打診確認。実施箇所と結果は報告書に明示される必要があります。

3|撮影者が分析まで行うか

撮影と解析の担当が分かれていないか。ガイドラインは同一人が行うことを求めています。

4|適用できない範囲をどうするか

北面、反射の強いタイル、軒裏や出隅など。「赤外線で見られない部分をどう調査するか」の提案があるかが、業者選定の分かれ目です。

5|報告書に何が含まれるか

適用条件のチェックリスト、打診併用の実施範囲と結果、浮きと判定した箇所を明示した外壁調査結果図、熱画像と可視画像、撮影位置を示した配置図。これらが揃って初めて、定期報告の資料として機能します。

お持ちの建物で使えるかどうか、
まずはご相談ください。
図面と現地の状況から、赤外線調査の適否を判断してご提案します
空撮・赤外線点検の詳細を見る 無料で見積・相談する

よくあるご質問

ドローンによる赤外線調査は、12条点検の全面打診の代わりになりますか?

なります。平成20年国土交通省告示第282号(改正 令和4年国土交通省告示第110号)と国土交通省のガイドラインに基づき、打診と同等以上の精度で実施した場合に限り、全面打診等の代替として認められます。ただし適用条件を満たさない部位は、打診など他の方法で調査する必要があります。

曇りの日でも調査できますか?

できません。ガイドラインでは、撮影2時間前から撮影中まで「晴れ」または「晴れ時々曇り」であることが条件です。「曇り時々晴れ」は困難、「曇り」以下は不可能とされています。あわせて最低気温5℃以上、日中の気温較差5℃以上、平均風速5m/s未満も必要です。

建物の北側も調査できますか?

北面は日射が当たる時間が短いため、赤外線調査は著しく困難です。打診など他の方法での調査を検討します。事前調査の段階でご説明します。

ALCや押出成形セメント板の建物でも使えますか?

使えません。これらは熱容量が小さい、または中空を有するため、ガイドラインで適用困難な下地材とされています。木摺ラス・鉄骨ラス、タイル先付けPC版も同様です。設計図書で事前に確認します。

飛行の許可申請は必要ですか?

建物の立地と飛行方法によって異なります。人口集中地区や、第三者・第三者の物件から30m未満での飛行は、原則として国土交通省への許可・承認が必要です。ただし十分な強度を有する紐等(30m以下)で係留し、立入管理等の措置を講じる場合は、一部区域を除き不要となります。申請が必要な場合は当社で代行しますので、お客様にご用意いただくものはありません。

調査後の補修工事もお願いできますか?

本調査は定期報告制度における「浮き等の有無と程度」の把握を目的としたものです。補修範囲の確定や積算のための詳細調査は別途必要になります。ご希望があれば、適切な事業者をご紹介します。

当社の赤外線外壁調査について

株式会社スカイブレックスは、東京都荒川区を拠点に、ドローンによる赤外線外壁調査を行っています。

  • 赤外線建物診断技能師が在籍し、撮影から熱画像の分析・判定まで一貫して担当します
  • 国土交通省登録講習機関「JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京サテライト校」を運営。国家資格保有パイロットが飛行を担当します
  • 飛行許可・承認申請の代行に対応します
  • マンション・事務所ビル・学校などの建築物に加え、水門をはじめとするインフラ構造物の点検実績があります

「うちの建物で使えるだろうか」という段階のご相談で構いません。図面をお送りいただければ、適否の見立てをお伝えします。適用が難しいと判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。

図面1枚から、判断できます。
下地材・仕上げ材・方位から、赤外線調査の適否を無料で診断します
無料相談・お見積り サービス詳細を見る
この記事を書いた人
平岩 勇介(株式会社スカイブレックス 代表取締役)

一等無人航空機操縦士。国土交通省登録講習機関「JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京サテライト校」を運営し、これまで500名以上のドローン操縦者を指導。赤外線建物診断技能師を擁する体制で、東京および近隣エリアの外壁調査・空撮業務にあたっています。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の建築物に対する調査可否や法令適合性を判断するものではありません。制度・告示・ガイドラインの内容は改正される場合があります。実際の運用にあたっては、国土交通省の公表資料および所管の特定行政庁にご確認ください。

----------------------------------------------------------------------
SkyBrexドローンスクール(運営:株式会社スカイブレックス)
├ JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京サテライト校(大人向け)
└ スカイブレックス KIDS DRONE 西尾久校(子ども向け)
住所 : 東京都荒川区西尾久1-31-6グロース・バウム63-102号
電話番号 : 03-6555-2050


----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。